もう少し深く、歴史的、文明論的観点から今ふたたび論考してみたいと思ひます。
・・・先月、よい子のCBerさんたちの話題をさらった、
<先着30名限定!製品説明から開発秘話まで>8月4日(土)、東京・日本橋で新技適対応のCB機「Blackbird」完成披露会を開催・・・ハムライフ.jp
Blackbirdとは1968年のポールマッカートニーの楽曲の50周年記念にあやかってなんでしょうけど、なぜスーパーへテロダインなのか?
ビデオ解説のひとは「ゼロから新しく立ち上げたスゴイ努力だ!」、絶賛なされておられますが、私なら努力なんかしない、
デジタルダイレクトコンバージョンで出してただろう。 DDCなら18万円もしない、ロシヤかどこから買ってきて手間いらず、簡単で儲かるじゃないか!!
、、という、私がふつうだと考えるところの「ふつうの考え」は通じないのですね。 これはどうやら人間の本質に関わることらしい。
このことについては150年の歴史を遡る必要があります。
・・・いまから150年前、日本では、
NHK大河ドラマ『西郷どん』 - NHKオンライン
日本が動き出す!! って言われましても。
で、西郷南洲翁遺訓集の第十一ケ条に曰く、
文明とは道の普く行はるるを賛称せる言にして、宮室の荘厳、衣服の美麗、外観の浮華を言ふには非ず。
つったって、当時、中国や東南アジア諸国が欧米列強にムチャクチャに蹂躙されているのを見てたら大久保らが自衛のために焦りまくり、
手っ取り早く文明開化・富国強兵に突っ走らなければならなかったのはやむを得ないことであり、サイゴーはその後ヤケッパチで死んだのだけれど、案の定、化けの皮は剥がれ、明治政権は昭和20年8月15日に瓦解しました。
、かといって西郷が力説したところの道とか敬天愛人とか寝言こいてても余計最悪だったでしょうけど。
このときの日本の不幸は19世紀ヨーロッパの文明や文化を皮相にしか学ばなかった、しかも最悪な19世紀、
企画展 渋沢栄一渡仏150年 渋沢栄一、パリ万国博覧会へ行く~渋沢史料館
学んだのは、このまぬけな姿に象徴されるようにタイミング悪く、科学発展の象徴としてのパリ万博、ナポレオンの市民革命による大衆化でダメダメなヨーロッパであり、実はその背後に隠れていたヨーロッパの深い伝統を学ばなかったことにあります。
なぜなら革新は歴史と伝統に深く学ばなければ生まれないからです。 大慌てでチンチクリンの洋服着るしかなかった渋沢栄一らにはとてもじゃないけどそんな余裕は無かったろうけど。
じゃあ日本には歴史や伝統は無かったのか?というとそんなことはないので、日本人初のノーベル賞を取った湯川秀樹博士は、
古典に深く学び、その中間子理論は2000年前の東洋の老荘思想を20世紀に再展開したに過ぎない。
ほか、世界的に革新的な業績を上げたひとたちは、必ず歴史を深く学んだひとたちです。おそらく例外は無いでしょう。
ノーベル賞受賞者には文化や芸術に造詣が深いひとたちが多いですが、革新的アップルのジョブズは必死に自分の歴史と伝統を求めてクスリに走って若死にしました。
遊女ウケ抜群?江戸時代にもモテファッションを紹介するメンズ向け雑誌があった!・・・日本文化と今をつなぐ。Japaaan
いまの日本人がしきりに江戸時代を懐かしがるのも同じく必死に伝統を求めているのでしょう。 わたしは懐かしくもなんともないですが。
・・・世では、「なぜ日本にイノベーションが発生しないのか?」 という主題について無数に語られ、個性を尊重しないからとか多様性を認めないから、冒険しないからだとかなんとか言っているようですがそうではない。
本質的には、明治に分断されたわれわれの歴史にあると考えます。
なぜ今、オープンイノベーションなのか:文部科学省
伝統という確固とした1本のバックボーンが通ってないのに新しいことなんかできるわけがない。そもそも伝統に照らさなければ自分のやってることが新しいことなのかすら解らない。
八木アンテナだって後ろにリフレクタが付いてるから前方に飛ぶんじゃないか。 オープンとかクローズとかトロクサイこと言ってるようじゃダメよ。
無線機に即して言えば、SDRとは、「デジタルダイレクトコンバージョン方式である」、という考えに支配されてしまい、I/Qがどうしたとか歪みがどうしたとか騒いでるだけでそこから前に一歩も進めないこと、
古典の江戸時代の遺風が完全に失われた関東大震災と時を同じうして開発されたヘテロダイン方式に固定観念を縛られてしまっていること、
そしてヘテロダイン方式と同時に、
シュンペンターがイノベーションといふ概念を定義したことを、非常に象徴的であると考えます。
SDRとは「ソフトウェアが主体のラジオで新たな価値を生み出すこと」を言うのであって、ヘテロダインだのホモダインだのの方式とは無関係であり、アナログであるかデジタルなのかもまったく関係ありません。
↑ブログトップページへ
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。